体脂肪を付けずに筋肉だけを増やす、リーンバルクの食事法についてわかりやすく解説します。
筋肉を大きくしたいけれど、増量(バルクアップ)中の体脂肪が増えるのは嫌だという方は大勢いるはずです。
そもそも他の人から見て魅力的でカッコいい・セクシーな体になりたかったのに、増量中とは言えポッコリお腹になるのは嫌だと考えるのは当然のことだと思います。
でもジムで筋トレしてるの先輩の話を聞くと、「筋肉をつけるためにまずは太らなくちゃダメ!」と言われる…。でもあんなポヨポヨのお腹になるぐらいなら、もう増量なんてやめてやる!と考える方もいるかもしれませんね。
増量中とは言え、こんなポッコリお腹になるのは嫌ですよね。
ですがその先輩の言ってることは正しくありません。増量法の中には、体脂肪をできるだけ増やさず筋肉だけを増やす『リーンバルク』という食事方法もあります。
そこで今回の記事ではリーンバルクと他のバルクアップ法(ダーティーバルク、クリーンバルク)の違い、3ステップで出来るリーンバルクの必要なカロリー・栄養成分の計算方法を紹介します。
体脂肪を増やさず筋肉だけを増やしたい方は、ぜひチェックしてみてください。
リーンバルク増量法とは?ダーティーバルクやクリーンバルクとの違い
ボディービルだーやフィジーカーが体重を増やすための食事法としては、主に次の3つのやり方があります。
- リーンバルク
- ダーティーバルク
- クリーンバルク
ではそれぞれの特徴を順にチェックしていきましょう。
【リーンバルク】はマクロ栄養素を計算して食事する方法
リーンバルク(lean bulk)の『リーン(lean)』は、日本語で「やせた・細い・脂肪のない」という意味。名前の通り、脂肪をほとんど付けずに筋肉だけで増量させる食事法となります。
体脂肪を極力つけないやり方なので、かっこいい体型をキープしたままバルクアップすることが可能。
わかりやすく言うなら、腹筋が割れたままの状態でサイズアップできます!
やり方をざっくり説明すると1日あたりに必要なカロリー計算し、そこからマクロ栄養バランス(タンパク質・脂質・炭水化物の割合)に基づいて食事をするという流れです。
話を聞くとなんだか難しいと感じるかもしれませんが、やってみると意外と簡単。リーンバルクでのカロリー計算方法や食事例はのちほどわかりやすく解説しますので、そちらをご参照ください。
ちなみにリーンバルクの場合、摂取カロリー内&マクロ栄養バランスを満たすなら、ピザやハンバーガーなどのジャンクフードを食べてもOKです。
【ダーティーバルク】はとにかく食事量を増やす増量法
続いてダーティーバルク(dirty bulk)の『ダーティー(dirty)』は、日本語では「汚れた・濁った」という意味。こちらはダーティーな食事でもいいから、とにかく何でも食べて体重を増やすという方法です。
脂質や糖質の多いものを何でも食べてもOK。ハンバーガー、カツ丼、ピザ、ラーメン、焼肉、寿司はもちろん、ポテトチップスやケーキなんかも食べて大丈夫です。カロリーを気にする必要もなし!まさに夢のような増量法ですよね笑
ただしジャンクフードばかり食べていると、筋肉だけでなく脂肪もどんどん付いていきます(増量後はいわゆるデブ状態になる)。
そのため腹筋が割れるようなカッコいいスタイルになるために、かなり厳しい減量(ダイエット)が必要です。
増量期は好きなものを好きなだけ食べられる天国だけど、減量期に地獄を味わうバルクアップ方法です笑
なお脂肪が増えると、体への負担も大きくなるので健康上も決してよくはありません。
【クリーンバルク】はジャンクフードを食べない増量法
最後にクリーンバルク(clean bulk)。『クリーン(clean)』は日本語で「清潔な・汚れていない・綺麗な」という意味。
クリーンバルクはジャンクフード(栄養バランスが悪い調理済みの食品)は摂らずに、クリーンな食事で増量しましょうというやり方です。
そのためアボカドやアーモンドやフィッシュオイルなどの良質な脂質なら、量を気にせず摂取できます。ただしカロリー計算は特にしませんので、エネルギーを摂りすぎると脂肪が付き過ぎる懸念もあります。
なお上述した『リーンバルク』と混同されがちですが、『クリーンバルク』と『リーンバルク』は完全に別物。
トレーニング中上級者の中にも、『リーンバルク』と『クリーンバルク』を混同してる方がいるので要注意です!
リーンバルクは別にクリーンなものをだけを食べる必要はありませんからね。
リーンバルクの場合、脂肪はほとんど付きませんが、クリーンバルクの場合はマクロ栄養バランスやカロリーを考慮しないと体脂肪は増加していきます。
リーンバルクの最大のメリットはカッコイイスタイルをキープできること
ではそれら3つのバルクアップ法の中で、リーンバルクは何がいいのか?についてですが、最大のメリットは『かっこいいスタイル』を維持したまま増量ができること。
脂肪をできるだけ付けずに筋肉で体重を増やす方法なので、腹筋が割れたまま体重を増やすことも可能。
増量期にありがちなお腹の出た体型にはなりません。また体脂肪がほとんど増えないので体への負担も少なく、健康的に増量できるというメリットもあります。
さらに言えば筋肉量が少ない方ほど変化が出やすい増量法なので、初心者トレーニーさんにはおすすめのバルクアップ法です。
筋量が少ない初心者さんが実践すると、みるみるカッコいい体型が変わるので、モチベーションアップにつながりやすい増量法です。
【3ステップ】リーンバルクするためのマクロ栄養素の計算方法
それでは実際にリーンバルクで増量するための必要カロリーと、マクロ栄養素(P:タンパク質、F:脂質、C:炭水化物の割合)の計算方法を解説します。
なお具体例があった方がわかりやすいので、今回は次のような人物を対象とします。
- 筋トレ歴…2年目
- 体重…65kg
- 体脂肪率…18%
1.ベースカロリーを計算する
ここからは計算が必要となってきますが、ゆっくり読んでいただければとても簡単な内容です。
まずはベースカロリーの算出です。
ベースカロリーとはあなたが日常生活をしていて、体重が増えも減りもしない現状維持できる摂取カロリーのこと。ベースカロリーの計算方法は次の通りです。
ベースカロリー=除脂肪体重×40kcal
今回の場合は体重65kg・体脂肪率18%なので、脂肪量は65kg×18%=11.7kg
そのため除脂肪体重=53.3kgとなります(65kg-11.7kg)。
つまりベースカロリーは【53.3×40kcal=2132kcal】です。
このベースカロリーが今の体重を維持するために必要なカロリー数です。
2.増やせる筋肉量から1日に摂取するべきカロリーを計算する
先ほどのベースカロリーを摂取するだけでは、体重維持するだけなので筋肉が増えることはありません。
そこで続いては、脂肪を付けず筋肉を増やすために必要なカロリー(ベースカロリーににプラスする分)を計算します。
ベースカロリーが計算できたら、次は筋肉を増やすためにプラスする分のカロリーを計算します。
なお増加する筋肉量はトレーニング初心者と上級者によって異なります。筋肉が発達していない初心者ほど多くの筋肉が付き、上級者ほど筋肉は付きづらいです。そして筋トレ歴ごとの1年間に増やせる筋肉の目安は次のようになります。
- 1年目…10kg
- 2年目…5kg
- 3年目…2.5kg
- 4年目以降…1kg
筋トレ初心者ほど筋肉は増えやすく、中上級者になるに従い筋肉の増加はゆるやかになってきます。
今回の対象人物はトレーニング2年目なので、1年間に増やせる筋肉は5kg。1ヶ月にすると約417g、1日あたり約14gの筋肉が増える計算です。
この14gの筋肉を増やすためのカロリーをベースカロリーに加えて、毎日摂取する必要があります。
ちなみに筋肉を1kg増やすのに必要なカロリー数は5,000kal、筋肉1gあたり5kcalのカロリー摂取が必要です。
1日あたり14g筋肉が増える計算なので、14g×5kcal=70kcalを余分に取る必要があります。
これをベースカロリーに足すので、今回のケースだとリーンバルクに必要なカロリーは次の通りです。
2132kcal(ベースカロリー)+70kcal(筋肉を増やすカロリー)=2202kcal
つまり対象人物がリーンバルクするために、1日に取るべきカロリーは2202kcalだとわかりました。
3.PFCバランスから必要なマクロ栄養素を計算する
1日に取るべきカロリーがわかったら、次はマクロ栄養素を決めていきます。マクロ栄養素とは、タンパク質(P)・脂質(F)・炭水化物(C)の比率のことです。
必要なカロリーから、摂取するべきPたんぱく質、F脂質、C炭水化物の量(g)を計算していきます。
リーンバルクするための食事でのマクロ栄養素の目安は次の通りです。
- P…除脂肪体重×2-3(g)※
- F…除脂肪体重×0.7(g)
- C…残りのカロリー÷4(g)
なおマクロ栄養を摂取する上で、PFCの1gあたりのカロリーが必要となりますが、それらの数値は次の通りです。
- P…4kcal
- F…9kcal
- P…4kcal
それでは実際にそれぞれの値を計算していきましょう。まずはP(タンパク質)の摂取目安からです。
Pの摂取目安=除脂肪体重53.3kg×3g=159.9g
Pのカロリー…159.9g×4kcal=640kcal
続いてF(脂質)の摂取目安を計算します。
Fの摂取目安…53.3kg×0.7g=37.3g
Fのカロリー37.3g×9kcal=336kcal
最後にC(炭水化物)の摂取目安です。
炭水化物の摂取目安は、上記の計算で算出したPとFの摂取カロリー数から逆算します。
Cの摂取カロリー…2202kcal-(640kcal+336kcal)=1226kcal
Cの摂取目安1226kcal÷4g=306.5g
以上でモデルケース(体重65㎏、体脂肪率18%、筋トレ2年目)の場合の、リーンバルクするための1日にあたりに摂取するマクロ栄養素を算出できました。
- P…159.9g
- F…37.3g
- C…306.5g
このPFC値を満たすように毎日食事する。これがリーンバルクでの増量方法です。
筋トレでしっかりと取り組んだ上で、上記のマクロ栄養バランスに基づいて食事をすれば、理論は脂肪を付けずに筋肉だけで増量することができます。
マクロ栄養素の計算は少しわかりづらいかもしれませんが、本記事をゆっくり3回読めば必ずわかるはずです。
1回でわかりづらかった方は、繰り返し読んでみてくださいね。
リーンバルクでの食事の具体例【フル食を紹介】
では実際に上記のマクロ栄養素で食事をすると、一体どんなメニューになるのか?気になる方もたくさんいるでしょう。
そこでコンビニで手軽に購入できる食材や、プロテインで1日の食事メニュー(フル食)の具体例を組んでみましたので紹介します。
朝食
- サトウのご飯…P4.2g、F0g、C67.8g
- おかめ納豆…P8.6g、F4.7g、C7.8g
- 卵(全卵)…P7.4g、F6.2g、C0.2g
ご飯、納豆、卵とシンプルな朝食メニューです。
サトウのごはんは1パック200gで計量する手間がいらず、レンジでチンするだけなので、まとめ買いして置いておくてかなり役立ちます。
またトレーニーの中には黄身を捨てて白身だけを食べる人もいますが、黄身には豊富なたんぱく質が含まれているので、全卵で食べることをおすすめします。
お笑い芸人兼、一流のボディービルダーでもある『なかやまきんにくん』も、黄身を捨てずにしっかり全卵を食べてると言っており、白身を捨てる人を許さないとお怒りです笑
あの温厚なきんにくんが怒るぐらいなので、絶対に黄身は捨ててはいけません!
朝間食
- ホエイプロテイン(35g)…P27.1g、F2.1g、C2.9g
- 粉飴(40g)…P0g、F0g、C39g
間食にはホエイプロテインに粉飴(マルトでキストリン)を混ぜて飲みます。
粉飴を混ぜる理由は脂質ゼロで、炭水化物のみを効率よく摂取できるからです。粉飴はリーンバルク時には強い味方になってくれる存在。
なおホエイプロテインも粉飴も、ガブガブ飲むのでリーズナブルな製品で十分。コスパの良い製品(プロテインならリミテストなど)を賢く選びましょう。
リーンバルクでは炭水化物の摂取量がかなり増えるので、食が細い方や胃腸が弱い方は粉飴(マルトデキストリン)のようなカーボパウダーを使った方が良いです。
昼食
- サトウのご飯…P4.2g、F0g、C67.8g
- サラダチキン…P25.4g、F1.7g、C0.7g
- 鮭フレーク(1/2瓶)…P6.6g、F2.3g、C0.5g
サラダチキンは手軽にたんぱく質を摂取できるので、トレーニーにとってはありがたい存在。
なおサラダチキンではご飯が食べづらいと思うので、鮭フレークもメニューに加えました。セブンイレブンの鮭フレークなら、1/2瓶食べても脂質は2.3gしかありません。
昼間食
- オイコス・ブルーベリー…P9.6g、F0g、C13.0g
間食におすすめなのは『オイコスのヨーグルト』。たんぱく質がしっかりと補給できて、脂質もゼロなのが最高ですよね。
オイコスは罪悪感無しでパクパク食べられる最高のおやつです笑
トレーニング後の補給
- ホエイプロテイン(35g)…P27.1g、F2.1g、C2.9g
- 粉飴(40g)…P0g、F0g、C39g
筋肥大のためにはトレーニング後に、プロテインだけでなく炭水化物を摂取することも大切。
ただし筋トレ後すぐに固形物を食べると、胃腸に大きな負担がかかるので、ホエイプロテインに炭水化物パウダーである粉飴を混ぜて摂取しましょう。
なおリーンバルクでたんぱく質の摂取のために、プロテインをガブガブ飲む方が効率が良いです。高たんぱく・低脂質の鶏肉や魚を大量に食べられる人はそれでもいいですが、食が細い方にはそれは難しいでしょう。
そのためコスパの良いホエイプロテインを活用して、それをガブガブの飲むことをおすすめします。
コスパの良いホエイプロテインは次の記事のランキングをご参照ください。
夕食
- サトウのご飯…P4.2g、F0g、C67.8g
- 卵2個(全卵)…P14.8g、F12.4g、C0.4g
- 鮭フレーク(1/2瓶)…P6.6g、F2.3g、C0.5g
夜にご飯を食べても大丈夫?と心配する方もいるかもしれません。
この点についてですがバルクアップ中は夕食も炭水化物抜きしないで、きちんと食べるようにしてください(もちろん食べ過ぎはいけませんが)。
夕食で炭水化物を摂取しないと、深い睡眠を取ることができずに成長ホルモンの分泌や筋肉の成長がおろそかになるため筋肉にとっては良くないです。
どうしても気になる方は、少し量を減らすぐらいにしてください。夕食まるまる炭水化物抜きはおすすめしません。
夜食
- ソイプロテイン(20g)…P16.9g、F0.1g、C1.0g
夜食には体への吸収が遅いソイプロテイン(大豆原料)がおすすめです。
寝る前に飲めば、睡眠中も筋たんぱく合成が進みやすくなり、筋肥大につながります。
なお筋トレ初心者の頃は、ソイプロテインもコスパ重視で選ぶのが良いでしょう。
ボディウィングのソイプロテイン(↓)なら、リーズナブルでコスパが良いのでおすすめです。
以上が1日の食事メニューです。なおマクロ栄養素と摂取カロリーの合計は次の通り。
- P…162.7g(159.9g)
- F…33.9g(37.3g)
- C…311.3g(306.5g)
- エネルギー…2201.1kcal(2202kcal)
摂取目標に対して多少の誤差はありますが、おおむね目標値付近で実現できています。
なおリーンバルクの場合、脂質の量を抑えなくてはいけないので、目標カロリーを実現するためには炭水化物(白米や玄米など)をかなり摂取する必要があります。
そのため小食の方は食事例で紹介したように粉飴(マルトデキストリン)のような、炭水化物の粉末(カーボパウダー)を摂取するのがおすすめです。
もちろん食事で摂取できる方は、ご飯の量を増やしても大丈夫ですよ。
まとめ【リーンバルクは初心者ほど効果が出やすい増量法】
今回の記事では『リーンバルク』の特徴や、他の増量との違い、マクロ栄養素の計算法、具体的な食事例などを紹介しました。
本文中でもお伝えしましたが、リーンバルクは初心者ほど成果が出やすい方法なので、筋トレを始めたばかりの方にこそおすすめできる増量法です。
最初にマクロ栄養素を計算するのは面倒に感じるかもしれませんが、一度各数値を計算してメニューを組んでしまえば、あとはそれに従うだけなので案外簡単にできます。
もし計算したカロリーを摂取しても体重が増えない場合は、あなたのベースカロリーは基準よりも高い可能性があります。
その場合はベースカロリーを1.1-1.2倍に増やしてみてください。
健康的にかっこいいスタイルを維持したまま増量したい方や、減量時に無理をしたくない方にはおすすめのバルクアップ法です。
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